外務省海外安全ホームページより、最新の世界渡航情報です。
2012年4月20日に以下情報が発令されております。
海外旅行時の参考にご参照ください。
※ 本情報は、海外に渡航・滞在される方が自分自身の判断で安全を確保するための参考情報です。本情報が発出されていないからといって、安全が保証されるというものではありません。
※ 本情報は、法令上の強制力をもって、個人の渡航や旅行会社による主催旅行を禁止したり、退避を命令するものでもありません。
※ 海外では「自分の身は自分で守る」との心構えをもって、渡航・滞在の目的に合わせた情報収集や安全対策に努めてください。
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ゴールデンウィークには,多くの方が海外へ渡航される時期ですが,海外
滞在中に感染症にかかることなく,安全で快適な旅行となるよう,海外で注意
すべき感染症及びその予防対策について,以下のとおりお知らせいたします。
・海外で感染症にかからないようにするためには,感染症に対する正しい
知識と予防方法を身につけることが重要です。
・渡航先や渡航先での行動によって異なりますが,最も感染の可能性が高
いのは,食べ物や水を介した消化器系の感染症です。
・日本で発生していないような,動物や蚊・ダニなどが媒介する感染症が
海外で流行している地域も多く,注意が必要です。また,WHOが排除又は
根絶を目指している麻疹(はしか)及びポリオは,日本での感染者が減少
傾向又は発生が認められていませんが,諸外国では未だに流行しています。
・海外渡航を予定される方は,渡航先での感染症の発生状況に関する情報
を入手し,予防接種が受けられる感染症については,余裕をもって相談して
おくなど,適切な感染予防に心がけてください。
なお,日本国内の空港や港の検疫所では渡航者の方を対象に健康相談を
行っています。帰国時に発熱や下痢,具合が悪いなど,体調に不安がある場
合は,検疫所係官に相談してください。
また,感染症には潜伏期間(感染してから発症するまでの期間)が長いもの
もあり(数日から1週間以上),帰国後しばらく経過してから具合が悪くなること
があります。その際は,早急に医療機関を受診し,渡航先,滞在期間,飲食
状況,渡航先での行動,家畜や動物との接触の有無などについて必ず伝えて
ください。
1.蚊やダニなど節足動物が媒介する感染症
渡航先(国・地域)や渡航先での行動によって,感染する可能性のある感染
症は大きく異なりますが,世界的に蚊を媒介した感染症が多く報告されていま
す。特に熱帯・亜熱帯地域ではマラリア,デング熱,チクングニア熱などに注意
が必要です。
(1)マラリア
毎年世界中で約2億5000万人の患者が発生し,80万人以上の死亡者が
いると報告されています。我が国では,海外で感染して帰国される方(輸入
症例)が毎年50人以上報告されています。
○発生地域:アジア,中南米,アフリカなど熱帯・亜熱帯地域に広く分布
○感染経路:マラリア原虫を保有した蚊(ハマダラカ)に吸血された際に感染
する。ハマダラカは,夜間に出没する傾向がある。都市部での感染リスクは,
アフリカやインド亜大陸を除き減少している。
○主な症状:マラリア原虫の種類により7日以上の潜伏期ののち,寒け,発熱,
息苦しさ,結膜充血,嘔吐,頭痛,筋肉痛など。迅速かつ適切に対処しなけ
れば重症化し,死亡する危険がある。
○感染予防:長袖,長ズボンを着用し,素足でのサンダル履き等は避ける。
虫除け剤や蚊帳等の使用により,蚊に刺されないよう注意する。特に,夜間
の屋外での飲食や外出時に注意する。2週間以上流行地に滞在し野外作業
等に従事する場合には,抗マラリア薬の予防内服を行うことが望ましいとされ
ている。
○参考情報:
FORTH/厚生労働省検疫所「マラリア」
http://www.forth.go.jp/useful/malaria.html
国立感染症研究所感染症情報センター「疾患別情報:マラリア」
http://idsc.nih.go.jp/disease/malaria/index.html
(2)デング熱,デング出血熱
世界中で25億人が感染するリスクがあり,毎年約5,000万人の患者が発生
していると考えられています。
我が国では,海外で感染して帰国される方(輸入症例)が毎年約100人報告
されています。2011年は103人の患者が報告されており,インド,フィリピン,
インドネシアでの感染事例が増加しているので注意が必要です。2012年現在,
24例以上が輸入症例として報告されています。
○発生地域:アジア,中南米,アフリカなど,熱帯・亜熱帯地域に広く分布。
○感染経路:ウイルスを保有した蚊に吸血された際に感染する。媒介蚊は
日中,都市部の建物内外に生息するヤブカ類である。
○主な症状:突然の発熱,激しい頭痛,関節痛,筋肉痛,発疹。デング熱
患者の一部は重症化して,出血傾向を伴うデング出血熱を発症することが
ある。
○感染予防:長袖,長ズボンを着用し,素足でのサンダル履き等は避ける。
虫除け剤や蚊帳の使用等により,屋内及び屋外において蚊に刺されない
ように注意する。室内の蚊の駆除を心がける。
○参考情報:
FORTH/厚生労働省検疫所「デング熱」
http://www.forth.go.jp/useful/infectious/name/name33.html
国立感染症研究所感染症情報センター「疾患別情報:デング熱」
http://idsc.nih.go.jp/disease/dengue/index.html
国立感染症研究所「デングウイルス感染症情報」
http://www0.nih.go.jp/vir1/NVL/dengue.htm
(3)チクングニア熱
アフリカ,東南アジア,南アジアの国々で流行しており,2006年にはインドで
約140万人の感染者が報告されています。
我が国では,2011年に海外で感染して帰国後にチクングニア熱と診断され
た事例(輸入症例)が,10例確認されています。
○発生地域:アフリカ,東南アジア(フィリピン,マレーシア,タイ,インドネシア,
シンガポールなど),インド,パキスタン,インド洋島嶼国(スリランカ,モルディブ
など)マダガスカル。2007年にはイタリア,2010年にはフランスでも流行。
○感染経路:ウイルスを保有したヤブカ類に刺された際に感染する。
○主な症状:2~12日(通常4日~8日)の潜伏期ののち,突然の発熱,激しい
頭痛,関節痛,筋肉痛,発疹。関節痛は急性症状消失後も数か月続くことが
多い。
○感染予防:長袖,長ズボンを着用し ,素足でのサンダル履き等は避ける。
虫除け剤や蚊帳の使用等により,屋内のみならず屋外でも蚊に刺されない
ように注意する。室内の蚊の駆除を心がける。
○参考情報:
FORTH/厚生労働省検疫所「チクングニア熱」
http://www.forth.go.jp/useful/infectious/name/name32.html
国立感染症研究所感染症情報センター「チクングニア熱」
http://idsc.nih.go.jp/idwr/kansen/k07/k07_19/k07_19.html
国立感染症研究所 ウイルス第一部第2室「チクングニア熱」
http://www0.nih.go.jp/vir1/NVL/Aiphavirus/Chikungunyahtml.htm
(4)ウエストナイル熱・脳炎
ウエストナイルウイルスが原因の熱性感染症です。このウイルスは,鳥と蚊
の間で維持されている感染症です。北米地域だけで例年数千人の感染者が
報告されています。
米国での流行は,例年蚊の活動が活発になる7月頃から始まり,年末まで
報告が続くのが特徴です。
○発生地域:アフリカ,欧州南部,中央アジア,西アジア,近年では北米地域,
中南米にも拡大している。
○感染経路:ウイルスを保有した蚊(主にイエカ類)に吸血された際に感染す
る。媒介する蚊は多種類に及ぶ。
○主な症状:2~14日(通常1日~6日)の潜伏期のち,発熱,激しい頭痛,
関節痛,筋肉痛,背部痛,発疹など。感染者の一部は脳炎を発症し、まれ
に死亡することがある。
○感染予防:長袖,長ズボンを着用し,素足でのサンダル履き等は避ける。
虫除け剤や蚊帳の使用等により,屋内のみならず屋外でも蚊に刺されない
ように注意する。室内の蚊の駆除を心がける。
○参考情報:
厚生労働省「ウエストナイル熱について」
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou18/west_nile_fever.html
FORTH/厚生労働省検疫所「ウエストナイル熱」
http://www.forth.go.jp/useful/infectious/name/name29.html
国立感染症研究所「ウエストナイルウイルス」
http://www0.nih.go.jp/vir1/NVL/WNVhomepage/WN.html
(5)クリミア・コンゴ出血熱
クリミア・コンゴ出血熱ウイルスによる発熱性出血熱を特徴とする感染症
です。このウイルスは,ヒツジなどの家畜とダニの間で維持されています。
死亡率の高い感染症で,北半球では4月から6月に流行します。特に,中央
アジアや中東では、毎年患者が発生しています。
○発生地域:中国西部,東南アジア,中央アジア,中東,東ヨーロッパ,
アフリカ。
○感染経路:ダニに咬まれたり,感染動物(特にヒツジなどの家畜)と接触
したりして感染する。
○主な症状:発熱,関節痛,発疹,紫斑(出血),意識障害など。
○感染予防:長袖,長ズボンを着用し,素足でのサンダル履き等は避ける。
また,家畜などにむやみに触れない。
○参考情報
FORTH/厚生労働省検疫所「クリミア・コンゴ出血熱」
http://www.forth.go.jp/useful/infectious/name/name38.html
国立感染症研究所感染症情報センター「疾患別情報:クリミア・コンゴ出血熱」
http://idsc.nih.go.jp/idwr/kansen/k02_g2/k02_31/k02_31.html
2.動物由来感染症
「動物由来感染症」とは動物から人に感染する病気の総称です。日本での
発生はありませんが,海外では,人に重篤な症状を起こす感染症が存在して
います。むやみに動物に触れることは避けてください。
(1)鳥インフルエンザ(H5N1)
H5N1亜型の鳥インフルエンザウイルスを病原体とする鳥インフルエンザは,
東南アジアを中心に家きん(ニワトリ,アヒルなど)の間で発生しています。
人が感染した場合には,重篤な症状となることが多く,世界保健機関(WHO)
によると,2003年11月から2012年4月2日までに世界15か国で600人の発症
(うち死亡353人)が報告されています。
2012年も、新たな患者が,中国,ベトナム,バングラディシュ,カンボジア,
エジプト,インドネシアで確認されています。
○発生地域:東南アジアを中心に,中東・ヨーロッパ・アフリカの一部地域など
○感染要因:感染した家きんやその臓器,体液,糞などとの濃厚な接触
○主な症状:1~10日(多くは2~5日)の潜伏期間ののち,発熱,呼吸器症状,
下痢,多臓器不全など。
○感染予防:家きんやその臓器等との接触を避け,むやみに触らない。生き
た鳥が売られている市場や養鶏場にむやみに近寄らない。手洗いやうがい
の励行(特に発生国・地域では徹底する)。
○参考情報:
厚生労働省「鳥インフルエンザに関する情報」
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou02/index.html
FORTH/厚生労働省検疫所「鳥インフルエンザ(H5N1)」
http://www.forth.go.jp/useful/infectious/name/name54.html
国立感染症研究所感染症情報センター「疾患別情報:鳥インフルエンザ」
http://idsc.nih.go.jp/disease/avian_influenza/index.html
(2)狂犬病
狂犬病は,狂犬病ウイルスによる感染症です。人は感染動物(アジアでは
主として犬)に咬まれることよって唾液からウイルスに感染し,長い潜伏期の
後に発症します。発症すると有効な治療法は無く,ほぼ100%死亡します。
世界における死者数は毎年5万5千人といわれています。感染動物に咬まれ
ても,直ちに狂犬病ワクチンを接種することにより発症を防げます。
我が国では,2006年にフィリピンで犬に咬まれ帰国後に発症し死亡した
事例が2例報告されています。
狂犬病流行地で犬などの動物に咬まれたら,すぐに傷口を石けんと水で
よく洗い,できるだけ早く現地の医療機関を受診し,傷口の消毒や狂犬病
ワクチンの接種を受けてください。また,感染の恐れがある場合には,帰国
時に検疫所にご相談ください。
●2008年11月には,それまで狂犬病の発生がないとされていたインドネシア
のバリ島で犬の狂犬病感染例が確認され,発病した犬に噛まれた住民が
死亡しています。バリ島での狂犬病流行は継続しており,現在も死亡者が
確認されています。
●2010年2月,米国ニューヨーク市セントラルパークでアライグマの狂犬病
感染が確認されたと同市保健衛生局によって報告され,アライグマに対する
狂犬病ワクチンの接種が行われました。2010年3月には猫の感染事例が
1例報告されています。
○発生地域:世界のほとんどの地域。特にアジア,アフリカ(発生がない地域
は,英国,北欧の一部,豪州,台湾,ハワイ,グアムなど)。
○感染要因:動物(アジアでは特に犬)から咬まれること。アメリカ大陸では、
コウモリにも狂犬病の流行がみられ,狂犬病ウイルスに感染したコウモリ
に咬まれて死亡する事例が報告されている。なお,その他に感染源とされ
る動物は,ネコ,アライグマ,キツネ,スカンク等がある。
○主な症状:1~3か月の潜伏期間の後,発熱,咬まれた場所の知覚異常,
恐水・恐風症状等の神経症状,飲み込み困難,けいれん)など。
○感染予防:犬等(猫,野生動物等,特に飼い主のわからない動物)との
接触を避ける。もし犬等に咬まれた場合は,傷口を石けんと水でよく洗い,
速やかに医療機関を受診し,消毒等の処置をした上で,暴露後予防ワク
チンの接種について医師に相談する。渡航地で動物と頻繁に接触する
場合には,渡航前に狂犬病ワクチン接種を受けておく。
○参考情報:
厚生労働省「狂犬病について」:
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou10/index.html
(3)エボラ出血熱
主にサハラ砂漠以南のアフリカ熱帯雨林地域で流行している,ウイルスに
よる発熱性出血熱を特徴とする感染症です。現在まで,アフリカ西部のコート
ジボワールとアフリカ中央部で発生しています。2000年から2001年にはウガ
ンダで,2001年から2002年にはガボンとコンゴ民主共和国の国境地帯での
流行が報告されています。これらの地域では毎年のように流行が発生して
おり,さらに,スーダンやウガンダでも流行が発生しています。
○発生地域:アフリカ(中央部~西部)
○感染要因:ウイルスの自然宿主はオオコウモリとされている。感染したサル
などの血液,分泌物,排泄物,唾液などとの接触でも感染する可能性があ
る。また,エボラ出血熱患者に接触して感染する場合が最も多い(院内感染
など)。流行地域の洞窟に入ることは感染リスクの一つ。
○主な症状:2~21日の潜伏期ののち,発熱,頭痛,下痢,筋肉痛,吐血,
下血など。インフルエンザ,チフス,赤痢等と似た症状を示す。
○感染予防:流行地への旅行を避ける。野生動物との接触に注意する。洞窟
に入らない。
○参考情報:
FORTH/厚生労働省検疫所「エボラ出血熱」
http://www.forth.go.jp/useful/infectious/name/name48.html
(4)マールブルグ病
マールブルグ病はエボラ出血熱とともに,ウイルスによる発熱性出血熱を
特徴とする感染症であり,アフリカのケニア,ジンバブエ,コンゴ民主共和国,
アンゴラなどで発生しています。2008年にはオランダ,米国の旅行者が,ウガ
ンダの洞窟に入り,帰国後にマールブルグ病を発症・死亡した事例が報告さ
れています。流行国の特定地域では,ときに大きな流行になる場合があります。
○発生地域:サハラ以南のアフリカ
○感染経路:ウイルスの自然宿主はオオコウモリとされている。洞窟内では
オオコウモリから排泄されたウイルスが原因となり,経気道感染することが
ある。感染したサルなどの動物の血液,分泌物,排泄物,唾液などとの接触
でも感染する可能性がある。マールブルグ病患者に接触して感染する場合
が最も多い(院内感染など)
○主な症状:3~10日の潜伏期ののち,初期には発熱,頭痛,悪寒,下痢,
筋肉痛など。その後体表に斑状発疹,嘔吐,腹痛,下痢,出血傾向。
○感染予防:流行地への旅行を避ける。野生動物との接触に注意する。
洞窟に入らない。
○参考情報:
厚生労働省「マールブルグ病に関する海外渡航者への注意喚起について」:
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou25/index.html
3.諸外国での感染に注意すべき感染症
WHOは,麻疹については「麻疹排除計画」により,ポリオについては「ポリオ
根絶計画」により,感染者の減少に取り組んでいます。
日本においては,麻疹は2008年に11,015人の患者報告があり,2011年に
434人まで減少しています。また,ポリオは,30年近くにわたり野生株による
ポリオ症例は発生していません。そのため,流行地からの輸入症例に留意
する必要があります。
(1)麻疹(はしか)
世界中で年間16万4,000人以上の麻疹による死者がいると推計され,主に
アフリカ,東アジア,南アジアの国々から報告されています(WHOによる2008
年時点の推計)。
○発生地域:2011年は排除宣言が出されている米国,カナダに加えて,患者
数が減少していたヨーロッパ諸国やニュージーランドでも患者報告数が増加
していた。ヨーロッパ諸国では2011年10月末までに40カ国から計約26,000人
の麻疹患者の報告があり,特にフランスの麻疹患者数は14,000人を超え,
麻疹による死亡も11人報告されている。アフリカ,アジアなどの予防接種率
の低い国では依然として患者数が多い。
○感染経路:空気感染,飛まつ感染,接触感染。
○主な症状:発熱,咳,鼻水,目の充血・目やになどが2~3日続いた後,39℃
以上の高熱と全身に発疹が出る。肺炎,中耳炎,脳炎が起こる場合もある。
○感染予防:麻疹ワクチンの予防接種が有効。日本では1歳になったらすぐ
に1回目の麻疹風疹混合ワクチンの接種を受け,小学校入学前1年間の間
に2回目のワクチンを受ける。2008~2012年度の5年間は,中学1年生と高
校3年生相当年齢の人を対象に予防接種を実施している。
○参考情報:
厚生労働省検疫所「麻しん」
http://www.forth.go.jp/useful/infectious/name/name62.html
国立感染症研究所感染症情報センター「麻疹」
http://www.nih.go.jp/niid/ja/disease/ma/measles.html
感染症流行予測調査(国民の抗体保有率など)
http://www.nih.go.jp/niid/ja/yosoku-index.html
(2)ポリオ
2011年には,世界で650人の患者が報告されました(WHO世界ポリオ根絶
計画事務局による集計)。日本では,30年近くにわたり,野生株によるポリオ
症例は発生していませんが,ポリオ流行地で感染し,帰国後に発症する事例
(輸入症例)に留意する必要があります。
○発生地域:流行国は,アフガニスタン,ナイジェリア,パキスタンの3か国
だが,周辺国でも輸入症例の発生が報告されている。2011年はパキスタン,
チャド等で多数の患者が報告され,中国新疆ウイグル自治区でもポリオの
流行が報告された。
○感染経路:経口感染(感染者の糞便中に排泄されたウイルスが,口から
体内に入る)。
○主な症状:感染した人の90~95%は症状が出ずに経過するが,典型的な
麻痺型ポリオの場合,かぜのような症状が1~10日続いて,手足に非対称
性の弛緩性麻痺(だらりとした麻痺)が起こる。
○感染予防:ポリオワクチンの予防接種が有効。また,流行国では,十分に
加熱されていない物の飲食は避け,食事の前には手洗いを行う。なお,
WHOでは患者発生のある国に渡航する場合には,ポリオの予防接種を受け
ていても,出発前の追加接種を勧めている。
○参考情報:
厚生労働省検疫所「ポリオ」
http://www.forth.go.jp/useful/infectious/name/name09.html
国立感染症研究所感染症情報センター「疾患別情報:ポリオ」
http://idsc.nih.go.jp/disease/polio/index.html
4.そのほか注意すべき感染症
渡航先や渡航先での行動内容によって,かかる可能性のある感染症は
さまざまですが,特に食べ物や水を介した消化器系の感染症(A型肝炎,
E型肝炎,コレラ,赤痢,腸チフスなど)は,開発途上国など公衆衛生の整備
が不十分な地域で感染することが多く,注意が必要です。生水,氷,サラダ,
生鮮魚介類,生肉等の十分に加熱されていない物の飲食は避けましょう。
また,生鮮魚介類や生肉等を介した寄生虫疾患にも注意が必要です。
○参考情報:
厚生労働省「海外で注意しなければならない感染症」
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/travel/dl/2012gw_00.pdf
5.海外の感染症に関する情報
海外の感染症に関する情報は,厚生労働省検疫所及び外務省のホーム
ページから入手することが可能です。出発前に渡航先の感染症の流行状況
等に関する情報を入手することをお勧めいたします。また,日本国内の空港
や港の検疫所においても,リーフレット等を用意し情報提供を行っていますの
で,ご活用ください。
